6. 川の現場にふれる・現場で感じる感性も信頼する

タマちゃん2002年8月、アゴヒゲアザラシのたまちゃんが東急綱島鉄橋に登場し、以後しばらくのあいだ鶴見川本流下流部に滞在しました。そのおり、一部の報道は、鶴見川の水質は全国ワースト3(当時)であり、たまちゃんの餌や健康が心配と強調したものでした。しかし、その報道にあまり振り回されず、むしろ一部では強い疑問を感じたはずの市民たちがいました。あのあつい夏の午後、悠々と鶴見川を泳ぐたまちゃんのギャラリーとなって鶴見川下流の土手を延々あるいたたくさんの市民たちです。たまちゃんを見に鶴見川の川辺にでた市民たちは、そこにたくさんの魚やエビやカニのかげがあり、水鳥の姿があり、水辺を縁取る気持の良い緑のある開放的な空間があることに気がつきました。新聞の報道するワースト3の鶴見川と、いま目の前に広がっている鶴見川は、同じなのか?多くの市民がそう感じ、「鶴見川はそんなに汚くない川なのではないか」と感じていたに違いないと思われます。

ワーストワンと報道される川が、どんな様相をしているか、そこにどのような光景があり、生きものたちの姿があり、生きものたちとつきあう市民の姿があるか、川の色、かわの臭いはどうなのか、現場で、確認する感性が、ワーストワン報道の呪縛を離れる、一番簡単で、重要な工夫の一つかもしれません。

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