足もとからじんわり流域思考ひろがる

 多難な年が暮れます。一年をふりかえり、ほんわりあたたかい希望のようなものを感じている自分に、ほっとしています。足もとから、じんわり、流域思考がひろがってゆく。そんな実感のある、すこし幸せな暮れだからです。
 TRネットの流域思考は、鶴見川流域水マスタープランとともにあります。流域センターを支え、地域の活動をささえ、次世代育成をとおして水マス応援をはたすことが私たちのミッション。今年は、その水マスの枠をこえた周辺から、鶴見川流域における行政・TRネット・企業の実践、そして流域思考そのものへの関心がよせられはじめているのです。

 筆頭は、トヨタ自動車と連携するAQUA SOCIAL FES!!。全国広報されるその成果を励ましとして流域活動をすすめてくださる動きが、東北に、関西に広がっています。直近では、11月22日、神奈川大学と横浜市が連携してすすめる、神奈川大学 de YES「環境社会論~地球と生命を結ぶ水」講座に、岸がまねかれ、「自然ランドスケープとしての流域~治水と生物多様性を考える~」を担当することもできました。行政地図とは別の流域地図が地域防災の要となってゆくこと、参加者のみなさんに染みとおったという実感がありました。同29日には横浜市政策局主催の講演会。「コンパクト都市再生に向かう横浜・流域丘陵思考の未来 100年・200年」というテーマでお話をさせていただきました。広大な臨海部と丘陵の緑を擁する横浜は、100年、200年の未来において、臨海部では温暖化豪雨、海面上昇、津波被害の危機、丘陵部では管理放棄された樹林地や福祉対応の困難になる急傾斜地危機に直面し、不可避的にコンパクトシティー化するほかない。その構想を、水災害の枠組である流域地図を頼りにすすめて欲しいと提言しました。12月8日には横須賀市にまねかれ、「温暖化・豪雨時代にむかう三浦半島森の適切管理を考える」というテーマで話をさせていただきました。半世紀にわたる管理休止の続く三浦半島の森が、保水力・土砂保持力を喪失し、森、川、街、海の安全や自然の危機を招いている現状を紹介しました。いずれの会場でも、テーマそのものに関心をよせる参加者と対応できる、久方ぶりの感激を味わうことができたのでした。

 3/11、復興3年へ。先日はトヨタ支援で連携するThink the Earthさんから、「Think the Earth Paper 流域思考」特集も到着しました。大地と共存する列島文化をはげます流域思考が、あしもとから穏やかに広がり、賑わい、さらにTRネットの実践も励ますはずと期待しつつ年をしめくくれる幸せに、ただ感謝です。

代表理事 岸 由二

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